ワンルームマンション売却タイミングとは。デッドクロス特徴もご紹介

最終更新日 2024年11月17日
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近年では世界的な物価上昇により、不動産などのマンション価格が上昇しています。そのため、ワンルームマンションを売却して得た利益を「新たな物件購入の資金」や「将来の生活費」に充てたい方は多いのではないでしょうか。

しかし売却するタイミングを間違えてしまうと、多額の税金やマイナス収支により損をしてしまいます。

そこでこの記事では、ワンルームマンションの売却で必要な税金の種類やおすすめのタイミング、売り時の判断で重要なデッドクロスの特徴について詳しく解説します。ワンルームマンションの売却を想定した「出口戦略」で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産投資が節税対策に向いていると言われる理由は、主に2つあります。

  • 減価償却費を経費計上できることで、会計上で赤字にできる
  • 給与所得から赤字を差し引くことで所得税を減らせる

減価償却費とは、建物の種類によって決められている期間で少しずつ資産価値を減少させていくことです。物理的にお金が減少するわけではなく会計上の経費として計上できるため、所得税を節税できます。

例えば、家賃収入から諸経費(ローン返済額の金利部分や固定資産税など)を差し引いた残りの額に所得税がかかりますが、減価償却費を計上することで赤字にすることが可能です。


具体的な数字で計算すると、以下のような計算になります。

  • 不動産収入100万円-諸経費40万円-ローン金利部分10万円=利益50万円
  • 利益50万円-減価償却60万円=▲10万円

この場合、利益の50万円に所得税がかかりますが、減価償却費を計上することで不動産所得は▲10万円で赤字となり、所得税がかかりません。

また、会社員や公務員の方など「給与所得」がある場合は、不動産所得の赤字を給与所得から差し引けます。つまり、給与年収が400万円の場合、10万円を給与所得から差し引けるため、課税対象は390万円となり所得税等を節税できる仕組みです。

ここでは、不動産売却に必要な4つの税金を「投資用のワンルームマンション」のケースで解説します。売却することでどんな税金がかかるのか、理解するようにしましょう。

譲渡所得税は、ワンルームマンションを売却する際に支払う税金です。売却による「利益」に対して課税されます。例えば、ワンルームマンションを1,000万円で購入(不明な場合は売却価格の5%が取得費とみなされる)して1,300万円で売却した場合、以下のような計算になります。

項目金額
売却価格1,300万円
購入時の価格▲1,000万円
諸経費※▲ 100万円
利益200万円

※売却時に支払う登記費用や仲介手数料など

上記の例の場合、利益の200万円に譲渡所得税がかかります。税率は所有期間で異なり、以下のとおりです。

  • 短期譲渡所得・・・約40%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=合計39.63%)
  • 長期譲渡所得・・・約20%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315%)
参考資料:国税庁|譲渡所得

所有年数で税率が2倍近くかわるため、売却のタイミングに注意しましょう。

なお、ワンルームマンションを購入した際の領収書や売買契約書などを紛失している場合、購入時の価格を証明できません。その場合、取得費を売却価格の5%として譲渡所得税を計算するため、多くの税金がかかります。

登録免許税は、抵当権抹消登記に必要な税金です。金融機関からローンを借りてワンルームマンションを購入している場合には「抵当権」が設定されており、抹消することで売却できます。

抵当権の抹消手続きに必要な登録免許税は、不動産1つにつき1,000円です。依頼する司法書士によって異なりますが、報酬額が30,000円くらいとなっています。

自ら抹消登記の申請はできますが、手間がかかるため司法書士に依頼するのがスムーズです。

印紙税は、ワンルームマンション売却時に交わす「売買契約書」を作成した際に課税される税金です。売主と買主それぞれが費用を負担して、契約書に貼り付けておきます。 売買価格ごとの費用は以下のとおりです。
軽減税率が適用される場合
売却価格印紙代
10万円を超え50万円以下のもの200円
50万円を超え100万円以下のもの500円
100万円を超え500万円以下のもの1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの10,000円
5,000万円を超え1億円以下のもの30,000円
1億円を超え5億円以下のもの60,000円
参考資料:国税庁|不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

売買契約書は、売却した翌年の確定申告時に必要になるため大切に保管しておきましょう。なお印紙税額は税法改正などで変更になるケースが多いため、国税局のホームページ等で確認するのがおすすめです。

投資用のワンルームマンションを売却する際には「消費税」が必要になるケースがあります。土地や個人が居住用としている不動産を売却する際には必要ありませんが、投資用の場合は建物価格に消費税が発生する場合があります。

そのため、個人事業主として課税業者になっている個人の方は、消費税が課税される可能性があるため注意しましょう。消費税を納める課税業者かどうかは専門家である税務署や税理士に相談するのをおすすめします。

ここでは、投資用ワンルームマンションを売却するおすすめのタイミングを4つ解説します。ベストなタイミングを把握して、できるだけ損をしないようにしましょう。

家賃収入よりもローンの支払いが上回るなど、収支がマイナスになる場合は、早めにワンルームマンションを売却するのがおすすめです。このままマイナスの状況が続くと、自己資金の減少が進みます。

一方で、物件自体の資産価値は年数が経過するごとに減少していくため、設備のメンテナンスや修理費用など管理や修繕に対する出費が増加します。収支がマイナスになって改善の見込みがない場合は、売却で少しでも傷口が広くならないようにするのが、一番の改善策です。

ワンルームマンションを購入して5年(1月1日時点で計算)を超えて所有している場合は、売り時のタイミングとしておすすめです。売却時に必要な「譲渡所得税」を低く抑えられるからです。

譲渡所得税は、所有期間によって以下のように税率が変わります。

  • 短期譲渡所得・・・約40%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=合計39.63%)
  • 長期譲渡所得・・・約20%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315%)

所有期間が5年以下で売却して利益が出ても、40%が税金となります。しかし、5年を超えた時期に売却するば約20%に抑えられます。ワンルームマンションの売却を検討している場合は所有期間で税金を削減できるため、慎重に判断しましょう。

マンション価格が上昇している時期に、所有しているワンルームマンションを売却するのがおすすめです。特に、金融機関からローンを借りて購入している方は、残債と相殺してプラスになるのが理想といえます。 国土交通省が令和6年2月29日に公表している不動産価格指数によると、区分所有マンションの価格は右肩上がりの上昇傾向です。

<不動産価格指数(住宅)(令和5年11月分・季節調査値)> ※2010年平均=100 不動産価格の上昇画像
引用:国土交通省|不動産価格指数

戸建てや住宅地と比較しても、上昇率の高さの違いは一目で分かります。

しかしマンション価格が上昇しているとはいえ、この先の不動産価値がどうなるかは誰にも分かりません。そのためマンション価格が上昇している「今」こそ、高く売却できるおすすめのタイミングといっても良いでしょう。

デッドクロスとは、借り入れているローンの元金返済額が減価償却費よりも高くなる現象のことです。減価償却の期間が終了することで経費にできる金額が減少し、経費が少なくなった家賃収入に所得税がかかるため、手元に残るお金が激減します。そのため、ワンルームマンションはデッドクロス前後で早めに売却することがおすすめです。税引き後のキャッシュフローを少しでも多く残すために、デッドクロスを見越した売却方法を視野に入れましょう。

なお、デッドクロスの詳しい内容に関しては次章で解説します。

デッドクロス画像デッドクロス

ワンルームマンションを損がないように売却するためには、デッドクロスの時期を意識することが重要です。ここでは、デッドクロスになる理由や売却時の注意点を詳しく解説します。

デッドクロスになると、帳簿上で利益が出ていたとしても税金によって手元に残るお金が減ってしまいます。デッドクロスになる主な理由は以下のとおりです。

  • ローンの返済期間
  • ローンの返済方法
  • 築年数が古い物件の購入
それぞれ、詳しく説明します。

ローンの返済期間がワンルームマンションの減価償却期間を上回る状態の場合、必ずデッドクロスになる時期があります。デッドクロスを避けるためには、ローンの返済期間よりも減価償却期間が長い物件、あるいはそれぞれの期間が等しい状態になることが必要です。

ローン返済期間 > 減価償却期間デッドクロスになる
ローン返済期間 < 減価償却期間デッドクロスにならない
ローン返済期間 = 減価償却期間

しかし、返済期間を短くすれば月々のローン返済額の負担が大きくなるため、手元に残るキャッシュフローに影響を与えます。物件ごとのシミュレーションを行ったうえで、キャッシュフローに影響が少ない物件を選ぶ必要があります。

ローンの返済方法には「元金均等返済」「元利均等返済」の2つがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

元金均等返済元金の返済額が借入から完済まで一定
元利均等返済元本部分の返済額が年々増加
元利均等返済で借りている方は、元本の返済が大きくなるため、デッドクロスになりやすいといえます。

一般的に法定耐用年数を超えた部分については減価償却できません。なお、耐用年数を超えた古い物件の減価償却期間は以下のように計算します。

  • 法定耐用年数 × 20% = 減価償却期間

例えば、築年数50年の鉄筋コンクリート造(耐用年数47年)のマンションの場合、購入してから受けられる減価償却期間は以下の計算のとおりです。

  • 47年 × 20% = 9年

築年数が古くて耐用年数を超えた物件の場合、数年でデッドクロスになるため気をつけましょう。

デッドクロスになると減価償却ができないため、手残りのキャッシュに大きな影響を与えます。2,000万円で購入(15年ローン)した築年数50年のワンルームマンションの事例でみてみましょう。

所得税・住民税合計30%で想定
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 11年目
家賃収入 180万円 180万円 180万円 180万円 180万円 180万円 180万円 180万円 180万円 180万円 180万円
元本返済 100万円 100万円 100万円 100万円 100万円 100万円 100万円 100万円 100万円 100万円 100万円
返済利息 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円
減価償却費 220万円 220万円 220万円 220万円 220万円 220万円 220万円 220万円 220万円 0万円 0万円
税引き前 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円
税金 無し 39万円
税引き後 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 30万円 ▲9万円 ▲9万円

※家賃額の変動及び利息の減少などは考慮しません

※元金均等返済のケースで作成しています

このケースでは9年が減価償却期間となるため、10年目以降は減価償却が経費として使えません。また、元本は経費にできないことから、手残りが30万円だとしても所得税等が年間39万円かかるため、税引き後は▲9万円となり収支がマイナスです。

  • (家賃収入180万円 - 返済利息50万円) × 所得税等30% = 39万円
  • 税引き前の手残り30万円 - 税金39万円 = ▲9万円の赤字

自分が所有しているワンルームマンションの減価償却期間を、あらかじめ確認しておきましょう。

ワンルームマンションの売却を検討している方は、この記事で解説したデッドクロスを考慮したタイミングで検討するのがおすすめです。売却のタイミングを逃してしまうと、今まで蓄積してきたキャッシュフローを短期間で失うことになります。

最悪の事態を避けるためには、まず売却のベストタイミングをプロに相談することがおすすめです。投資用物件の売却に特化したSAKURA投資なら、お客様の事情に合わせた売却のご提案や、複数の不動産会社への査定依頼などを取りまとめます。

ぜひ一度、お気軽にご相談ください。